花の足音

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ようこそ 猫のレストランへ Ⅱ

2020/09/14(Mon) 00:22





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夕べは PCの中から田舎の音が聴こえていたんですよ 
聴き慣れた虫の音に 時折草の葉の摺れる音も混じって
一時間ばかり 聴こえていたでしょうか・・・



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ふと窓を開けると 同じ音が輪唱のように外からも聴こえて
家の中を 風が通り抜けて行くようでした
すると何かが 外で点滅していて微かな音がするじゃありませんか




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思わず庭に出て 驚きました
頭の上に さらさらと川が流れているじゃありませんか・・・







Dvorak - Romance for piano and violin, Op.11







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いらっしゃいませ 猫のレストランでございます
お店の入り口は 川岸なのでご案内いたします

えぇ 滅多に開けないレストランですが
今夜はあまりに美しい夜空なので
急遽 秋のひとひにお席をご用意させて頂いた次第です




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今夜は 特別長い川が東西に流れ
星々は瞬き 美しい夜ですので
ごゆっくり どうぞお楽しみ下さいませ





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あぁぁ 申し訳ございません
急だったので 生憎と赤を切らしておりまして
白ワインでございますが・・・




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前菜は 夏に採れた豆たちで作った
夏の想い出のテリーヌでございます




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えぇ 白出汁のゼリー寄せなので
お味は 和風でございます




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肉料理は 淡白な豚のヒレ肉を
ベーコンで巻いてソテーしたものです

えぇ こちらもお味は梅肉ソースなので
あっさりとした 和風でございます




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此方は 摘みたてのフルーツホオズキと
青茄子の浅漬けでございます



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デザートには キーウィとゴールデンキーウィと黄桃でございます




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あぁぁ 川が流れて移動しているようですね



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何処まで伸びているのでしょう
本当に美しい川ですね





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食後のお散歩を 楽しまれますか?

それはようございますね
月もじきに 向こうの方からやって来るようです

えぇ ずっと彼方の方まで歩いて行かれたら
素敵なお散歩になることでしょうね




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お味の方は如何でしたか
ご満足して頂けましたでしょうか

それはそれは ありがとうございます
うちの猫シェフも喜びます



猫のレストラン・・・

自然の奥深く 気まぐれにひっそりと営業しているとか・・・



とても疲れている時  とても寂しくなった時
とてもうれしい事があった時 とても哀しい事があった時
いつの間にか こっそりとお店を開けるようです




よろしかったらまた何処かで 食べにいらして下さいね








まり
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帽子屋さんに連れてって

2019/10/05(Sat) 22:37






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いつの間にか神無月になったので 
森のどんぐりたちがクマくんにおねだりしました

ねぇねぇ そろそろ風が冷たくなって来たから帽子が欲しいの
みんなを帽子屋さんに連れて行ってちょうだい


じゃぁ 一輪車で乗せて行ってあげよう
さぁさぁ 乗った乗った








Katie Melua - Perfect World (Official Video)







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さぁ 到着 帽子屋さんに着いたよ
あれ? 何だかいつもと違うね


落ち葉の敷き詰められたショウウィンドウには
あまり帽子が並んでいません




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虫食いだぁ・・・




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小さくて落っこちちゃうよ!


今年はお天気のせいか 小さな帽子ばかりなんですよ
虫食いも目立つし それにあまりないんです


帽子が欲しいよう


どんぐりたちが泣き出してしまいました






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そうだ じゃぁお花で帽子を作ってあげよう!
今年はまだそれ程寒くないから お花の帽子もきっとすてきだよ





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わぁ~ これ可愛い♪
シノグロッサムの帽子




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きみには 鶏頭の帽子
温かそうだよ

うんうん すてきね♪
秋の色よ





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きみには キャットテールの帽子
ウィッグみたいだね
  
クマくん これふわふわであったか~い♪





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お澄ましさんのきみには
紫式部の帽子が似合うよ

あら すてきね♪
似合うかしら





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きみには 岩シャジンの帽子
あれ? 何だかお茄子みたいだ

やだやだ これ小さいもん
お茄子みたいな帽子なんて やだ!





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じゃぁ こっちならどうだい?


わぁ~ すっぽりと光に包まれてるみたい♪
これがいい ありがとうクマくん




クマくん どんぐりたち大喜びですね
みんな 森の秋が楽しくなりそうですよ









まり
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空飛ぶクマが欲しいんだ Ⅲ

2019/01/30(Wed) 00:00





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夢の中の待ち合わせは すれ違いが多い
どんな事を考えながら眠ったらいいのか
少しのことでも 哀しい夢を見てしまったりするから・・・

でも 梢の網に囚われたお月さまを観たりすると
不意に 言葉に出来ない疑問符が襲ってきたりする




Willie Nelson - Always On My Mind




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一匹のクマくんがいる・・・

一匹のクマくんの中に 大勢のクマくんがいる
大勢のクマくんは それぞれに違う顔をしている
大勢のクマくんは 夢の中のひとつの町になる
ひとつの町は とても近いうつつへと重なって大きな世界になる
大きな世界は空と繋がって もっともっと大きくなる
クマくんは すべての空間に存在すると言った
月の中にも陽の中にも 花が映るようにクマくんがいる

ねっ やっぱり一即一切は三千世界に繋がるんだ♪




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雪雲が煙のように流れてくると 手足が痺れた
今日はどんな朝が来るだろう・・・なんて少し不安になる
そうして毎朝ドキドキする
やさしい夢が見れた時は いいことがあるような気がするから





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素敵な朝焼けには 心がときめくでしょう?
だから 愛を紡ぎながら眠りたい
夜毎に夢の種を蒔くの 明日もお花が咲くように・・・




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目が覚めると空飛ぶクマくんが
枕元でおはようと笑った

えぇっ? ボクはてっきり鳥系かと思ってたぁw
おじさんたら じゃぁ何故アヒルの羽根だったんだ?

初めまして キミは蜜蜂クマくん?
お花は好き? 蜜が好き?
ねぇねぇ どうやって此処まで来れたの?
ボクの友だち知ってる?

えっ? クマくんが届けてくれたの?




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大変だ! キミにお花をあげなくちゃね
冬の間は 少ししかないんだけど
大丈夫かなぁ・・・




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キミがお腹を空かせないように
ボクも頑張るよ
だから ゆっくり食べてね
少しずつ食べてね





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色々なクマくんたちが 色々な生き方をしていた
あの町は とても楽しかった
すべてがアンティークで すべてに個の愛された歴史があり
それは古びる事は無く かえって新鮮で暖かかった




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あれから クマくんからの連絡は無い
それにしても あんなに分かりやすい処で
待ち合わせしたって言うのに・・・




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今頃はきっと クマくんの事だから 
暖かい陽だまりを探してお昼寝しているのに違いない



やれやれ・・・









那須テディ―ベアミュージアムにて撮影
(となりのトトロ展示含む)
三日間 夢のお話にお付き合い下さりありがとうございました ^^





まり
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空飛ぶクマが欲しいんだ Ⅱ

2019/01/28(Mon) 19:32






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おじさーん! アヒルさんの羽根を貰って来ましたよ
きらきら輝いていた羽根です

おぉっ 良く分かったね
これこれこれなんだ お陽さまの匂いがする温かい羽根だね
さぁさ じゃぁ仕上げに取り掛かるとしよう
もう暫く時間が掛かるよ
この町は初めてかい?それなら見物をしてくるといい

はーい じゃあまた後で







My Woman, My Woman, My Wife ~ Marty Robbins






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あっ ファッションショーだ
可愛い子がいっぱいいるね




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こっちにはお寿司屋さんがあるよ
そう言えば お腹空いたな・・・
ちょっと食べていこうかな


へい らっしゃい!





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クマくんの国でも お寿司があるんだね

坊や 旨いかい?

はい 美味しいです
でも何だか ボクが握ったお寿司に似てるなぁ・・・






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坊やはひとりで来たのかい?

はい 友だちと待ち合わせをしたのだけど・・・

友だちとは会えたのかい?

それがまだ・・・すれ違っちゃったみたいで・・・
待ち合わせ場所がいけなかったのかなぁ

それなら この先で結婚式があるから行ってみるといい
町の人たちが沢山集まるから そこに居るかも知れないよ





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さっき聞いた教会はここだね
お式が始まってる
わぁ・・・クマの牧師さんはやさしそうだな




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あっ花嫁さんだ 可愛いね♪
クマくんと一緒に観たかったなぁ・・・
幸せへの門出だね


ボクは最近 この門出って
人生の中で 何度も何度もあるって知ったよ
思い立ったら それがiいつでも吉日さ




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あれ 花嫁さんのご両親だね
お父さんたら ぽろぽろ泣いて・・・

ダメだよダメだよ 貰い泣きしちゃうじゃないか・・・



お幸せにね・・・





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あぁ・・・また降りだしちゃったな
寒いや・・・


それにしても クマくんは何処で待ってるんだろう?





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はい! 皆さん笑って~いいかい?

あっ!蛇腹カメラだ 
珍しいな 初めて観たよ
どうやって撮るんだろう?

そこの坊や 入るのかい?
入るんなら早くしてくれよ

えっ? いいえボクは・・・




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おぉ―いそこの君 僕らと一緒に撮ろうよ!

いえいえ ボクは
これは何の記念写真ですか?

今日の記念写真さ!

今日の?

そうさ 今日と言う日のさ!





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ボクは 一番端っこで小さくピースをした





つづく






まり
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空飛ぶクマが欲しいんだ Ⅰ

2019/01/27(Sun) 23:26





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おや いらっしゃい
坊やはどんなクマをお探しかな?

空飛ぶクマが欲しいんだけど・・・

うーむ 空ねぇ・・・
そりゃぁ 作らなくちゃならないねぇ
でも 材料があったかなぁ・・・
アヒルが分けてくれる 光る羽根がいるんだよ





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何分 ミシンも古いから
少し時間が掛かってしまうけど
それでいいなら・・・
あぁ・・・でも羽根が手に入らない事にはねぇ
どうしたもんだろう・・・

おじさん じゃぁ羽根はボクが探して来るよ

おぉっ そうしてくれると有り難い
町の人に訊けばひとりぐらい 
アヒルの居場所を知っている人がいるだろう






Earl Scruggs And Friends - Foggy Mountain Breakdown








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えっ?アヒル? 知らないなぁ
この辺りじゃ見かけないね
ところで君 どうしてそんなに毛が薄いんだい?
それじゃぁ風邪ひいちゃうだろう?





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あら あなた何だか変わってるわね
どこがって・・・毛が何となく・・・
アヒルを探してるの?
ううん 知らない 見たこと無いわ





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ねぇ・・・ほらほら見てあの子

あら 何でしょ可笑しな子ね

あんな長いシッポがあるなんて・・・変ねぇ
何なのかしら 此処がクマの町だって知っているのかしら





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ちょっとそこの坊や 何処から来たんだい?
見掛けない顔だけど よくこの町に入れたね

友だちがいるんです

友だちって言ったって お前はクマじゃないだろう?

別にクマじゃなくたって友だちにはなれますよ

お前みたいに貧相な毛並みのチビ助が
クマと友だちだって言うのかい?嘘をお言い

おばさん 意地悪な人だね
ボクは ただアヒルの居場所を探してるだけなのに・・・

人聞きの悪い事を言うのはおよし
アヒルなら町はずれの池に居た筈だよ
でも池は凍っているしとても寒いから
そんな薄い毛では凍死してしまうよ
このショールを巻いておゆき
ほら あたしは別に意地悪な人なんかじゃないからね

うわぁ・・・あったかい
おばさん ありがとう・・・





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さむっ! ほんとに今日は寒いなぁ・・・
でも青空だよ きれいだね





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池には氷が張ってるね
あの上 歩けるかしら?
あっ! 木の葉が滑るように歩いてる
面白いね枯葉のダンスだ





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こんにちはアヒルさん
羽根を分けて頂けませんか
光る羽根が欲しいんだけど

光る羽根?そんなものは無いよ
普通の羽根ならたくさんあるけどね
それでよければあげるよ




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あれ?でも光ってるよ
お陽さまを含んで きらきら輝いてる
アヒルさん これ頂きます
ありがとう





つづく







まり
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旅する絵本 Ⅱ

2018/06/30(Sat) 09:35





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遠いあの日 旅する絵本からお土産に貰った月の欠片で出来た栞を 

考えあぐねた末に どの本にも挟まずにいた子猫は

大人になっても挟まないまま 引き出しの奥深くに仕舞ってありました









Michel Pépé - Le Berceau de la Vie









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それでも 相変わらず時々本を読みに出掛けていましたが

ある日 始まりの本が数冊消えている事を知りました

司書のお姉さんに尋ねても 知らないと言うばかりです






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始まりの本が消えてしまったと言う事は

物語の続きがもう無いのだと 何処かで気付いていても

新刊が出る度に 本を読みに出掛けていたのです






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その頃猫は よくひとりで月を眺めていました

本棚から見つけた李白の月下獨酌など詠みながら

行方の知れないクマくんを探し疲れて 途方に暮れていたのです








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ある時 ふっとあの栞のことを想い出し

クマくんが戻って来る夢を描いた頁に 挟んでみようと決めました

猫は大人になってもずっと 一回しか効かない魔法を信じていたのです







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数日が過ぎた ある夜のことでした

夢の中で 旅先から戻って来た絵本が

近くの町で クマくんを見かけたと教えてくれました

その町を訪ねてみると クマくんは元気そうに働いていました






やっぱり 魔法の栞だったのです








旅する絵本は この頃あまり戻って来なくなりました

何処かの町で とても必要とされているのかも知れません








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猫は 見つかったクマくんが

かくれんぼをしながら ずっと傍に居てくれたことを知りました

月を ずっとひとりで眺めていたと想っていたのに

いつも岩陰から 一緒に眺めていたのです







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今は遠く離れた町にいても 猫とクマくんは同じ空を一緒に眺めています

猫が 心からそう信じる事が出来たのは

クマくんが 山のように使ってくれた大切な時間のお陰です







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それから 絵本がお土産に買って来てくれた

月の欠片で出来た 魔法の栞のお陰です






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猫は 時々本棚の埃を祓いお掃除します

人を傷つける言葉の綴られた本などを片づけ

温かい言葉の綴られた本や 元気が出て来る本などを並べ

絵本が戻って来た時の場所を 一冊分空けて待っています







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もしも 絵本が修復が出来ないほど傷んで戻って来たら

お花の下に 埋めてあげたいと想いながら・・・









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2014-01-14 に「旅する絵本 」を描きました
あれから もう彼是四年以上の月日が過ぎました
これまでの長い道程を 月夜に振り返っていました
過ぎ去れば 想い出はいつも温かく包んでくれるものだと・・・
これからも 出来るだけ温かい言葉を選んで
心の中を綴ってゆけたら と想っています




月と陽と 同じお空を眺めていて下さる方に 感謝を込めて・・・











まり
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虹色の針

2018/06/17(Sun) 03:00






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ある日の夕暮れに

ボクは きれいな沢を歩いていた








Yo-Yo Ma, Kathryn Stott - Lullaby (Brahms)








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お水は 何処までも透明で

暫く歩くと 光を放つ溜りがあった






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きれいだなぁって 眺めていると

お水の中から クマくんが出て来て

「 金の針と 銀の針と 鉄の針 どれがいい? 」

そう言った






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ボクは 硬い布も柔らかい布も

併せて上手に縫えて 縫い跡が残らず 

縫ったら もう決して離れなくなる

虹色の針を下さい と言った







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「 えっ? そんな針あったかなぁ・・・

待っててね 探して来るから 」

そう言うと また 光の中に潜って行った




ボクは 夢の中なら

多少の無いものねだりをしてもいいかしら

と 思う反面

クマくんが困らないかしら と心配になった






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待っている間 辺りの緑がそよ風にゆられ

ざわざわとお喋りしているのを聴いていた

何だか いつの間にかとても心地よくなって眠っていた













まり
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森の道 Ⅳ

2017/12/02(Sat) 19:51




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陽が落ちて 歩き疲れた歩を休め

夜露を凌ぎ 花の下で横になった

身体を横にし手足を伸ばすと 

一日の疲れが神経の末端までほぐれてゆくようだった





カルフが山小屋を出た理由は いったい何だったんだろう・・・

言葉の森を抜け出して絵の勉強をし 音の勉強をし

何を探しているんだろう・・・









O come, O come, Emmanuel - (Piano/Cello) - The Piano Guys










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邂逅は 人生のGift

でも 自分にとっての意味が相手にとっての意味と同じとは限らない

自分にとって幸せな邂逅が 相手にとっては苦しい邂逅になる事もある

 





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ボクにとっては 

とても頑固な枝ぶりの木を 森の中で見つけたようで

木は自らを 朽ちてゆく老木のようだと言いながら

その硬い枝は いつも力強く逞しかった







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とてもうれしくて

生まれた絆を この森で仲良く育てて行きたかったのだけど・・・






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カルフは旅に出て 何か見つけたのだろうか・・・




どうして? どうして? どうして?

訊く度 カルフは違う話をして答えてはくれない

自分で考えなさいと言う






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守り人たちが 何かしたのだろうか?





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咲いた花を 片っ端から蹴散らされたのだろうか・・・





いや・・・そうじゃないよね

戦う相手は いつも自分自身の筈だもの・・・







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あぁ・・・出来る事ならいついつまでも

花を愛で 四季を歌い 月を愛で 星と語り

絆を 紡ぎ続けていたい






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来る年も来る年も

花咲く日を夢見ながら 隣に座っていたい・・・





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カルフの山小屋につくと やっぱり窓は壊れていた

雪が降りだせば 部屋の中にも降り込んでしまうから

ボクは 急いで窓の修理をした

そして 部屋の隅のテーブルの下には置手紙が落ちていた






『 ー探し物があるので 暫く留守にしますー  カルフ 』








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カルフは 何を探してるんだろう・・・

ボクは取り敢えず これじゃないかと言うものを

森で探して 窓に届けに来ようと思う




森の道は 明日へと続く道

ボクは歩くよ 自分の足で歩いてみるよ

だって カルフの探し物を見つけたいんだ

ボクが 見つけたいんだ











久し振りの Nゲージ物語でした

最後までお付き合い下さり ありがとうございました  m(_ _ )m








まり
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森の道 Ⅲ

2017/12/01(Fri) 11:06





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霜月終わりの夜空には 白竜が舞っていた

那須神社の水神様が 師走の日光へ向かって飛んでいるようだった

長い尾は 絵の中に納まりきれず

うねうねと曲がりながら 続いていた






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師走 一日の朝 白い煙の中にボクは佇む

冷たい風は霧を剥がし 頬を切り裂き過ぎてゆく












Numb | Piano & Cello Version








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丘の上の陽だまりでは 牛たちがご飯を食べている

残り少ない牧草を みんなで分け合ってワイワイガヤガヤ







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おや? 反対側の丘の上にある箱庭の中では戦争をしている

何てことだ 谷間に住むトロールたちが怯えているじゃないか

やれやれ いったい大人の正義は何処へ消えてしまったんだ







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こんにちは 木を切っているのですか?

元気そうな幹なのに どうして?




促すんだよ


促す?


あぁ・・・こっちに伸びた方がいいって 気付かせてやるんだ


木が 気付くんですか?




そうさ それが剪定って言うんだ

でも頑固な奴もいてね 逆に枝を吹いたりすることもあるけどね



そんな時は どうするんですか?




別にどうしもしないさ また 促すんだ

色々な形の木があって 森があるんだから



気の長い話ですね



育てるって事は そう言う事だろ

あんただって そういう風に育てられてきたんだろ?



えぇ・・・そうですね・・・






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森には 色んな人がいるなぁ・・・




あれ? 子どもの泣き声がする







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無理だってば あたしには出来ない! 絶対に無理!

お父さんが取ってくれればいいのにぃ・・・




何にも試さないで 初めから出来ないって決めちゃうのかい?

手に入れば それでいいの?






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よいしょ んー もうちょっと・・・

あっ ダメ 手の力が入らない・・・

手袋が必要かも・・・靴も違う方が引っかかるかも・・・






あれはいくら何でも 無理だろうなぁ・・・

でもお父さんは 子どもに考えさせているのだろう

あぁ・・・ さっきの促すだね・・・なるほど・・・







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わぁー すごーい お父さん気を付けてねー!





お手本を見せられる大人は

やっぱり 子どものヒーローなんだなぁ・・・







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この森が ボクは好きだ

色々な事を ボクに教えてくれる




カルフは この森が好きじゃないのかなぁ・・・

それとも 目標が変わってしまったのかしら







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ボクは カルフの言葉が大好きだった

カルフが読んでくれる詩を

永遠に 聴いていられる気がしていたんだ







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カルフが 山小屋を出ていった朝

ボクは途方に暮れて・・・



山小屋の窓を開けたら 

もしかしたら カルフの言葉が

そこから 飛び出して来るんじゃないかと思うんだ







つづく・・・







まり
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森の道 Ⅱ

2017/11/30(Thu) 14:39




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冬化粧を施された茶臼の頂が

時折 寒風に煽られて煙が立つ

まるで お山の息遣いが観えるみたいに蒸気が上がる

これから日にゝ白粉が濃くなり 色白になってゆく








Maria Callas - Ave Maria







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ふっと樹の上を見上げると 青年が空を眺めていた



やぁ・・・こんにちは 何を観ているんだい?


観ているんじゃないよ 考えてるんだ


そんなところで 何を考えているんだい?


何について考えたらいいのか 考えているのさ







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本当に考えなきゃいけない事が分かっていても

人は 時々それをすり替えてしまう事があるよね

その方が楽になれるからなのか・・・ボクにもあるよ そんな事・・・




でも 人生の宿題は変わらない

何処に逃げても同じ宿題が出るんだよ 答えが解るまでさ・・・







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カルフは 今頃どうしているだろう・・・

やっぱり 何かについて懸命に考えているのかしら

感じたことは 錯覚だと打ち消して

理論を積み重ねているのかしら







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おや? あんなところに・・・

何だか 冬だって言うのに温かな景色だな

周りに輝いている光は 信頼って言う珠なんだろうか?

どうすると こんな珠が輝くんだろう

過ごして来た 時間の長さだけじゃない筈だよね・・・







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ボクらが 風に散ってゆくまでの時間は短い

ぼやぼやしていたら あっと言う間だ・・・

それまでに ボクにいったい何が出来るんだろう・・・




確かに 道は色々あるけど 

目標を見失ってしまったら ただの寄り道になってしまう






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あっ・・・お花の中から祈りが聴こえて来た



こんにちは シスター

今 何を祈られていたのですか?



森の平和ですか?

そうですね 森が平和でなくては森の仲間たちの平和も無いですもんね




今日で十一月も終わります

今度の日曜日は いよいよアドヴェントに入りますね






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ボクは ミサに行けそうもありません

此処で 祈りを捧げてもよろしいでしょうか




えぇ・・・そうですね・・・

傍にいてくれる 生きる魂たちがどうか迷いませんように・・・

目に見えるものだけに頼らず 心の声が聴こえますように・・・

ボクも 森の平和を祈ります









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森の奥にも 冬の陽が射し込んでいた

これから どんどん貴重になってくる陽だまりに

木の葉が うれしそうに輝いている





カルフの山小屋の窓は 壊れていないかしら

ふっと そんな心配が胸を過る

もうすぐ クリスマスだって言うのに

窓が壊れていたら大変だ・・・






つづく・・・




まり
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