
Knock knock Who's there?
カチャ・・・3番目の窓が開く
愛が死ぬ時 その手を取り看取りたい
掌に頬ずりをして 口づけをしよう・・・
永遠の誠実は 百年の花を悉くに枯らし
涙を 満ちた光の中に隠すのだ
Schubert/Liszt - Der Müller und der Bach - Evgeny Kissin

水車小屋の音が響く
ゴトンゴトン・・・
今宵の月は まるで水に帰ろうとするが如くに
水車に巻かれ 落ちてゆこうとしている・・・

暫く振りですね・・・
川音を耳にしてから もう随分と時が過ぎたようです

お預けした荷物が 重かったのでしょうね・・・きっと・・・
私も何となく そんな気がして・・・ごめんなさい・・・

はい あなたの好きなお大根・・・

今日ね 岩観音にある煩悩の階段を登って来たの
真正面に 八溝からお月さまの昇るのが観られるから
でも 登る時間になってもお月さまが来なくて・・・
不安になって その場から離れてしまったの
水車小屋でお月さまを見つけて 慌てて戻ったのよ

後10分 待っていたら・・・そう言う事ってあるでしょ?
そして 取り返しのつかない事・・・
次の日雨になって あぁ・・・何で後10分待てなかったんだろうって・・・
その瞬間は 決してすり替える事の出来ない大切なものなんだと言う事・・・

これね 紫法師って言う白菜なんです
サラダ用で とても甘いんですよ

お元気にしていらしたの?
あの人は 元気にしているみたいです
えぇ・・・手紙がね ちゃんと来ていました
ただ 此方からの手紙に 返事はありませんけど・・・

それぞれの いいと思う生き方が
まるで お空をぐるぐると回っているみたいですね
後少し待っていたら 観えて来る事があるかも知れないですよね・・・

久し振りに 初女さんのおむすびを作ったんです
帰りのお土産に・・・

強すぎず弱すぎず 心を結ぶおむすびです
芯には 梅干しをひとつ
いつでも想えば・・・ またお逢いできますよね

もう お帰りに?
水に流れて行ってしまわないで下さいね
年末には 年越しのお蕎麦食べに寄って下さるでしょう?
次の年号 楽しみじゃありません?
だから お元気でいて下さいね
たまには 寄って下さいな
大したものはありゃしませんけど・・・それでもね
想い出って言う 何処にもない肴はいつでもお出し出来ますから

愛とふたりで ずっとお留守番しています
私には やっぱりここが居心地よくて・・・
また いつでも寄って下さいね
たまには 泊って行っても・・・
あぁ・・・また あなたを困らせてしまう・・・いやぁね・・・私ったら・・・
えぇ・・・ごめんなさい・・・あの人も いつかは帰って来るでしょうから・・・
お気を付けて下さいね・・・
まり