花の足音

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とんとむかしあったとさ Ⅲ

2016/07/02(Sat) 22:35






Departures (Soundtrack) - 18 Okuribito (Memory)










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あれからどれくらいの時がたったじゃろう・・・



小兵衛は夢とも現とも判らぬような日々を過ごし

穏やかな毎日がずっと続くような気がしておった






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ところが ある朝目覚めてみると すいが何処にも見当たらん

小兵衛はあちこち探しまわったが すいは何処にも見当たらん




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小さな家の中もくまなく探したが 着物の切れ端さえ見当たらん

すいは まるで掻き消すように消えてしまった





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すいやー すい いったい何処に行きおった

わしをひとりにして いったい何処に行ったんじゃろ





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ひとりしゃがみ込んだ部屋は やけに広く感じ

毎晩の夕餉の匂いが想い出された

小兵衛がため息をついていると いつの間にか陽は暮れて

遠く山の入り口が茜色に染まりかけている時じゃった

小兵衛がふと眺めていると何かが違う・・・



おやぁ・・・景色が変わった・・・何が変わったんだ・・・

あぁっ あの木が無い わしの好きだったあの木が!





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小兵衛はじっとしていられず走り出した

はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・おかしい・・・そんなはずはない

ずっとあった木だ 無くなる筈はない

毎日眺めていた木だ 消えてしまうはずはない

あぁ・・・息が切れて来た・・・

おかしいな この辺りに在った筈だ





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小兵衛が走り寄ったいつも遠くから眺めていた場所には 

随分と痛んだ切り株がひとつあったそうな



あぁ・・・これは・・・



よく見ると 切り株から元気のいい若芽が何本か伸びておった

その芽を見た途端 小兵衛の目からぽろぽろと涙が毀れた



すい・・・ あぁ・・・すいだった お前なんだね・・・

お前は水の木だったんだ・・・

弱った手足をわしの為に燃やしてくれたか・・・

ありがとう・・・ありがとう・・・




お前が元通りの姿に戻る頃 わしはもうこの世にはいないだろう

でも決して忘れないよ お前の事は忘れない

わしが生きている間は お前を見守っているよ






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小兵衛が力なく家に戻ると 庭先に小さな芽が風に揺れておった

あぁ・・・すい・・・すいの子だ・・・

こんなところに 子を産んで行きおった・・・




それから小兵衛は 庭先の水の木が随分と立派になるまで

元気で長生きをしたそうな・・・




とんとむかしあったとさ

むかーし むかしの物語








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生き物は皆 互い違いの時間を生きている

時の長さはそれぞれ違い 呼吸をしている空間も違うのでしょう

そんな時の中で 心を重ねられる事の有難さを思います

その瞬間に意識もせず 何気なく発した一言に

人は時に誰かを助け 誰かに助けられ生きているのではないでしょうか


今 この瞬間に 私と巡り合って下さった皆さまへ・・・

いつもありがとうございます 

とてもたくさん 心を助けて頂いています





長い悪戯書きを読んで下さって ありがとうございました










まり
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とんとむかしあったとさ Ⅱ

2016/07/02(Sat) 10:05






Joe Hisaishi - Feel









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土間の辺りで ぱちんぱちんと薪の爆ぜる音がする

その内 粥の匂いが漂って来て

小兵衛の乾いた口の中に生唾が溜まって来た

あぁ・・・いい夢だなぁ・・・旨そうな夢だ・・・






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夢の中で ぼんやり目を開けると

粗末な身なりの女が粥を焚いていた




お前は誰だ どうしてそんなところに・・・




これはこれは旦那さま

実は夕べ この先で道に迷っておりますと何の標も無く途方に暮れ

夜目も利かず足を挫いてしまいました

女の身ではこの先を行くのは無理かと思いまして

こちらの軒を一晩お借りしたのですが・・・

声を掛けても返事無く 勝手をしてしまいました


せめてものお礼にと あったお米で粥を焚かせて頂きました






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おぉ そうだったか これは有難い

しかし 薪はもう無かったろうに・・・






薪に困っておいでなら 私が採って参りましょう

暫くこちらに置いて頂けるなら 旦那さまが動けるようになるまででも

お手伝いをさせて頂きます






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いつの間にやら 女は小兵衛のところに居ついたそうな

女は 毎日何処からか薪を背負い戻ると夕餉の支度をし

小兵衛は随分元気になっていったそうじゃ






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夕餉の後は決まって 小兵衛は女の膝枕で休んでおった

女は まるで猫を撫でるように小兵衛の身体を撫でていた

そうされると小兵衛は 不思議と一日の疲れが取れていくように思えたのじゃった





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なぁお前 わしはお前の名も知らん

いったい何と言う名なんだい




すい と申します



すい か・・・変わった名だのう






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わしは随分力も湧いた お前のお蔭だ

だけれどこの処 お前は顔色が冴えないような気がするが

なんぞ心配事でもあるんじゃなかろうか・・・





いいえ旦那さま 気のせいでございましょう

すいはこんなに元気です





つづく







まり
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とんとむかしあったとさ Ⅰ

2016/07/01(Fri) 20:49






Andrew York - The Equations of Beauty "h" (1957 Hauser II ex. Bream)











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昔々の事じゃった

お山の裾の随分はずれに 小兵衛と言う男が住んでいたそうな





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小兵衛はとても働き者で 花や景色を眺めるのが好きじゃった

朝陽と共に起き出して 小鳥などの話にもふむふむそうかと耳を傾け

風の歌などよく歌い 決して欲張る事も無く

日々を感謝し暮らしておった






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そんなある日の事 小兵衛は急な病に倒れ寝付く事が多くなった

それでも身体の楽な日は出来る仕事をして

縁から花や入り陽などを眺め楽しんでおったそうな





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広い原野を見渡していると

無性に山に入りたい気持ちになり

あぁ・・・そう言えばこの春はいつまでも寒くて薪をよく使ってしまった

山に入らねば薪も拾えん どうしたもんだろう・・・






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あぁ・・・然しこの足では山まで行けん

困ったのう・・・どうしたもんだろう・・・







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ある晩 小兵衛がうつらうつらしていると

不思議な夢を見た

破れかけた古い障子の穴から 遠く森の入り口にある

大好きだった一本の木が薄らと見えて来た






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おや 枯れかけているのか

いつからあんなに元気がないのだろう・・・

肥しが足りないのだろうか

それとも虫にでもやられたか・・・



あぁ・・・可哀想に・・・辛かろうなぁ・・・







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小兵衛は 高い熱を出していた

夢と現を行ったり来たり 朝が来たのも気づかんじゃった

そんな時 土間の方で何やら小さな音がした



つづく










まり
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2016/06/24(Fri) 22:29







Pat Metheny and Toots Thielemans - Always And Forever 1992.wmv








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湯上りに 子供の時からの習慣で

ベビーパウダーを使っていた

日焼けしたうなじが 薄らと白く染まり

さらさらして気持ちがいい・・・






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あっ・・・痛い・・・

あら お髭が随分と伸びているのね

粉で汚れてしまうから

あぁ・・・ほら・・・だめよ・・・






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幾つになっても子供みたいなんですね

あなたったら 膨れたようなお顔をなさって

子供に子供だなんて言われて 拗ねているんですか






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今夜は 川海老を少し揚げたの

お肉じゃなくて ごめんなさいね






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たまにはいいでしょう?

辛口の冷酒に合うと思うのよ






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それにしても 薄情な事なさるのね・・・

あなたったら 好き勝手ばかりして



私がいつまでも待ってるって

随分自信がおありなのね・・・






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どうしてそんな・・・嬉しそうな顔をして・・・

私が泣いていないとお思いなの?




私だって・・・私だってね・・・




嫌だわ 久し振りにあなたが来てくださったのに

本当は 愚痴なんて聞かせたくないのよ・・・






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今夜はちゃんと ご飯も食べて下さいね

生のシラスが手に入ったから 漬けにしてみたんですよ

お酒ばかりじゃ身体に毒よ・・・

ねぇ・・・あなた

何処にいても ちゃんとご飯を食べて下さいね






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えっ 今ですか?

嫌よ 今は嫌・・・





もしも 声を失くしたこの虫を

朝まで鳴かせて下さるのなら・・・




曙に微睡んでいる

あなたのお髭を当たりましょう











まり
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無精髭

2016/05/01(Sun) 02:00



Stjepan Hauser - Oblivion (Piazzolla)










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あら お久し振りね 

ねぇ見て 花蘇芳が見事に咲いてますね・・・

どうなさったの そんなに無精されて

まぁ お風邪ですか?



じゃぁ・・・ 私が当たりましょうか

えぇ 少し時間が空いたんですよ







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ちょっと熱いですよ さぁ 少し蒸さないと・・・

えっ 枕が高いって? 贅沢言っちゃぁいけませんよ

太いから太ももって言うんですよ

ほら 動くと熱いシャボンが喉元に垂れますよ




そう言えばね 先日ふっと想い出した夢があって

子供の頃から時々ね ずっと忘れない夢を見る事があって

あまりいい夢じゃないのだけど・・・

笑わないで聴いて下さる?

笑ったら頬に傷が付きますよ






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あれは二十代の中頃だったかしら・・・

内臓をひとつ採る事になりましてね でも子供が幼稚園に上がる前だったから

いつも二人きりでね だからお薬で少しの間痛みを抑える事になったんですよ

気持ち的には あぁ・・・またかぁ・・・位で 他には何も考えちゃいなかったんです




少しモルヒネが入っていたのか その座薬を入れると一時間くらい意識不明になるから

使う前には必ずテレビ画面に大きな紙を貼りましてね

連絡先を三つ書いておいたんです 母の家と救急車とお巡りさん

子供は鉄道模型で覚えたひらがなで ちゃんと母に電話をしていましたよ

えっ お父さん? だって毎晩 朝まで銀座のクラブで接待漬けでしたから・・・






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そうしたある日 明け方に知らない人が枕元に立っていたんですよ

白い布をふわりと羽織っていて 顔がもやもやして男か女か分からなくて

呆然と見ていると その人が静かな声で言うんです



『 今からお前に ある男の一生を見せよう 』



幸せの矢があって その矢が心臓の近くに刺さる程幸せが大きくなる

そう聞いた男は わき腹辺りに刺さっていた矢を抜いて心臓に刺したんです

それから 目の前がスライドショーのようになり

大金持ちになって豪遊している場面から順に映されて

ドンドン男の生活が荒れて行き 最後はガード下のお乞食さんになってたんですよ






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それでね その白い人が静かな声で言うんです

『 足るを知ると言う言葉があるね 今の自分の身体と生きて行きなさい 』

それでね その人は消えてしまったの

その人が何だったのか分からないけれど

きっと 多くを望んではいけませんよって

足りない私に 誰かが教えに来てくれたんでしょうね







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くよくよなんてしてたつもりはなかったのに

不思議でしょう? きっと笑われるからあまり人に話した事も無いのだけど・・・

だからそれから幾つ病気をしたって 何かを失くしたって何も望まなかったし

でもね たったひとつの夢ぐらい見たっていいじゃない・・・と思うのよ・・・

だって・・・現実では何も望んでないもの・・・




あら 寝てるのね いつもそうなんだから・・・

熱いタオルをどうぞ 目が覚めました? 終わりましたよ

ほら 三つ位若返ったかしらねぇ・・・

あぁ・・・足が痺れちゃったわ・・・







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本当に剃りたいのは あの無精髭なんですけどね・・・






今日・・・私の海なくなっちゃったの・・・

寂しい・・・












まり
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お月さまの風船

2016/04/20(Wed) 23:53





Vladimir Ashkenazy - Berceuse in D flat, Op. 57 (Chopin)










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大好きな夕暮れ

もうすぐ夜が来るね・・・



ぐっすり眠れるよう お散歩に行きたいね





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お花のプロペラを回したら飛べるかしら?

ダメかな?

でも落ちちゃったら怖いから・・・うーん・・・





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あっ お月さまだ! こんばんは

あの・・・夕暮れのお散歩をしたいんですけど

ぼくをお空に浮かばせてくれませんか?




あぁ いいとも これならどうだい?





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うわぁ・・・お月さまの風船だ!

浮かんだ 浮かんだよ

それじゃぁ お散歩に出かけよう!





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わぁ~雲の川が流れてるね

きれいだ・・・





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どこに流れて行くんだろう

泳いで行ってみたいね





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あっ ほら 水田にお月さまが映っているよ

ぼく こんなに高い所に浮かんでいるんだね






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全部の水田にお水が張られたら

今度は星空を見に来なくっちゃね

お月さま ありがとうございました



どういたしまして ぐっすり眠れるといいね

それじゃぁ お休み いい夢を・・・




お休みなさい・・・






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あれ・・・どこの家だろう 障子の窓だね

懐かしいな・・・

子供の頃 影絵をして遊んで貰ったっけ

キツネ オオカミ ワシ・・・




ふぁ~ぁ・・・あれ?何だか眠くなって来ちゃった・・・












まり
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お腹の中 Ⅳ

2016/02/06(Sat) 21:13






久石譲 北十字










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クマくんとネコは 随分と疲れたようで

どれくらい眠ってしまったのでしょうか・・・



ふと目を覚ますと お山はすっかり晴れ渡り

雪もだいぶ溶けたようでした






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もう痛くないかい?

クマくんはネコに声を掛けました




うん もう痛くないよ

でも あの紅い石は何だったの?

どうしてクマくんは呑み込んでも平気なの?

ネコは不思議そうに訊ねました






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あれはお陽さまの欠片さ

心の袋が丈夫な者だけが呑み込めるんだ

心の袋が小さくて弱い子には呑み込めないんだよ





クマくんは丈夫な袋を持ってるの?

その袋 誰に貰ったの?






袋は少しずつ自分で丈夫にするもんだよ

初めから丈夫な者なんていやしないよ






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ねぇ 何の為にお陽さまの欠片を呑み込んでるの?





そりゃぁ・・・ 迷子の子や しゃがみ込んでる子を案内してあげるためだよ

こっちだよ そっちじゃないよ ほら前を向いてってね

私たちは 磁石の代わりに照らしてあげるんだ

心にお陽さまを入れてる者は あちらこちらにいるんだよ






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ねぇ これさ 大丈夫の石にも似てるね

ぼくもいつかは呑み込めるようになるかしら?

心の袋が丈夫になるかしら?






あぁ・・・きっとなれるとも

いつか私の袋がボロボロになって破れてしまったら

君が磁石になって私を照らしてくれるかい?





うん きっときっと約束するよ

指切りげんまんだよ







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ねぇ・・・でもクマくん・・・

他にも沢山お陽さまを持っている人がいるのは分かるけど

ぼくは クマくんのお陽さまで育ったんだよ

クマくんのお陽さまを浴びていたいんだ

クマくんが穴の中で眠ってばかりいたら お陽さまが弱くてさ

だから お外に出て照らしておくれよ

ぼく 迷子になりそうだったんだ






あぁ・・・でも私も最近歳をとったせいか疲れてね・・・

つい 穴の中で眠ってしまうんだ

まだ雪もある 冬の間はしょうがないよ





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えぇっ! クマくん知らなかったの?

もう立春も過ぎたんだよ

さぁ 起きて起きて 春を探しに行こうよ!





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雨だよ雨だよ! クマくん春の足音だよ!

すごいね 立春を過ぎたらちゃんと雨が降り出した

これからひと雨ごとに 春が近づいて来るよ

三寒四温が繰り返されて 春が来るんだ!







やれやれ・・・

いつの間にか ネコはすっかり元気になったみたいですね







あなたの心に いつも太陽はありますか?

あったら どうか周りの人を暖かく照らしてあげて下さいね






ネコも これから頑張るみたいですよ 














まり
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お腹の中 Ⅲ

2016/02/06(Sat) 09:36






久石譲 カムパネルラ










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胸の辺りが痛いよう・・・




ネコが紅い石を呑み込んでしまってからどれくらい経ったでしょうか・・・

クマくんは ネコにくしゃみをさせようとしたり逆さにして振って見たり

色々な事を試みて見ましたが 石は出て来ません



困ったクマくんは 友だちの山ウサギくんに相談して

くしゃみの出るお薬の作り方を教わりました







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うーむ・・・何々・・・お鍋に朝一番に開いた花を入れ

それからいばらの実に 雪の下の蕗の薹

えぇっ・・・百舌の早贄かぁ・・・

あぁそう言えば あそこの鉄線にあったかしら・・・






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薄暗くて良く見えないけど 確かこれだよ

カエルが刺さっていた筈だ



さて これをひと煮して・・・




どうれ ネコに飲ませて見ようか







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うわぁー 苦いよぉ 吐きそうだ

何これ 何なの

口の中が爛れそうだよ

痛い いたたた・・・・

ダメだよ くしゃみなんか出て来そうもないよぉ





さてさて・・・どうしたものだろう・・・

じゃぁ蜘蛛くんに訊いてみるか・・・






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何々・・・石を出したいって?

では 私が潜って拾って来てやろう

クマくん ネコの口をしっかり押えて閉じないように開けておいてくれ




きゃぁ ヤダよヤダよ 苦しいよ

クマくん助けて 息が出来ないよ




クマくんは 一生懸命ネコの口と身体を押さえ励ましました



大丈夫だよ 鼻で息をしてご覧

ほらほら 力を抜いて すぐに終わるからね

さぁ もう少しだ 後少しだよ

ほぅら 光が上に上がって来たよ

さぁ もうひと頑張りだ

大丈夫 大丈夫だ もうすぐ出て来るよ




クマくんの掌は ネコの涙と涎でぐちゃぐちゃです

ネコは クマくんの腕にいつの間にか爪を立てていました

クマくんは痛いのに じっと我慢をしています






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あぁ・・・やっと出て来ました・・・





蜘蛛くんは 得意そうに紅い石を抱えネコの口から出て来ました


















まり
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お腹の中 Ⅱ

2016/02/05(Fri) 22:45






久石譲 鳥を捕る人










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鼾をかいているクマくんのお腹が

薄ぼんやりと光っています



ネコは気になってしょうがありません

ぎゅうぎゅうとお腹を押して見ても

クマくんは高鼾

光は相変わらず ぼわぁって光っていました






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そうだ 来る途中で拾ったこの羽根で・・・

ネコは クマくんの鼻の下を羽根で擽って見る事にしました





ハ・・ハ・・・ハーックション!





クマくんが大きなくしゃみをしたその時です

口から真っ赤な石が飛び出して来ました






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ネコは その石がとても美味しそうに見えて

恐る恐る口の中に含んでみたのです



甘いのかしら? ん・・・ちっとも甘くない・・・



その時です 紅い石がつるっと喉の奥に入ってしまいました





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あいたたたた・・・・痛い痛い・・・

胸が痛いよぉ

どうしよう・・・クマくん クマくん起きてよ 目を覚ましてよ・・・

胸が焼けるように痛いんだ





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も~う 何だい せっかくいい気持ちで眠ってたのに

おや ネコじゃないか どうしたんだい?

どうしてそんなに痛がってるの?




えっ! あの石を呑み込んじゃったんだって?

ばかだなぁ・・・あの石はまだ君には呑み込めない物なのに・・・

兎に角大変だ 火傷しちゃうから早く吐き出さないと・・・












まり
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お腹の中 Ⅰ

2016/02/05(Fri) 10:43





Joe Hisaishi "銀河鉄道の夜" piano cover.[NOKTO DE LA GALAKSIA FERVOJO]










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あの晩は 雪が真横に降って

たいそう寒い夜でした




片足のネコは 樫の杖を頼りに

何日も何日も白い大地を彷徨っていました




ゴゥゴゥと風が唸り 耳が千切れそうに冷たいのです





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薄ぼんやりとした景色の中に 何の音だか

ヒュルヒュルー ヒュルヒュル― と 音がします

風の音に 時折掻き消されながら聴こえて来るんです




何の音かしら・・・

片足のネコは 遠ざかる意識の中でじっとその音を聴いていました






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今夜は お月さまも見えないし

このところ 陽も昇らない




このままじゃ 世界は真っ暗闇になっちゃうね・・・

前がどっちだか 何にも見えないよ





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あの音を頼りに 歩いて行って見ようか・・・




片足のネコは 何とか動いていた足も段々と感覚が失われて

最後の力を振り絞って 這うように進んで行きました





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あの音 この穴の中から聴こえて来るみたい

入って見ようかしら・・・

吹雪も止みそうにないし・・・




片足のネコは 細い隙間を奥へ奥へと入って行きました

少し進むと 少し明るくなり

突き当りには 大きくて柔らかいものが大きな音を立てていました




ヒュルヒュルと響いていた大きな音は クマくんの鼾でした

薄明りの中 大きなお腹が上がったり下がったりしています

ネコが息を止めてじっと見ていると

クマくんのお腹の辺りに 何やら光るものが見えました

ネコはそっと手を伸ばして その光るものを取ってみたんです





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そのグルグルしたものには 星の欠片や惑星がついていて

きらきらと点滅していました





クマくんが宇宙を動かしていたのかしら・・・

でも ここには太陽は無いみたいだし




あれ? 何だかお腹がうっすらと光っているみたい・・・

何故なのかしら?・・・













まり
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