Sylvie Vartan AIMER 1982

『 サヴァ? 』 と ぼくの大切な片足に声を掛ける
『 ウィ 』 と ぼくの片足は答える
もう一本の大切な足に ぼくは訊く 『 元気? 』
するともう一本の足は答える 『non 』

最近 片足で歩いてるネコは
時々 ストライキを起こして寝ころんでいる
可愛い小鳥がいても 一緒に遊べない
安心と言う魔法を探し 書庫で居眠りをしている
ストックしてある本に埋もれてぼうっとしている

もしかしたら 片足が歩いているから
ぼくは 付いて行ってるだけなのかも知れない・・・
この道は行き止まりじゃないのかな・・・
お月さまは 何故か朝も昼も頭の上にいて
寝不足になっているのかも知れない・・・

nonと言った片足は もう二度と動かないのだろうか
手だって人並みに動かないのに
足も片方捥ぎ取られてしまうのだろうか
その時 心はどうなるんだろう・・・
自分がこんなに弱虫なのに
人を励ますなんて図々しい事出来るわけない・・・

塞ぎ込むと ぼくの大切な片足は千里眼で
映写機を回して夢の続きを映す
まるで ぼくがすたすたと歩けるような
そんな夢を見せるんだ

目を覚まして 珈琲を淹れる
香りが 夢の中に届くように・・・
哀しみが 薄まるように・・・
そしてそれをずっと信じて来た

長い時間をかけて落ちた雫を
宜しかったら どうぞ
少し苦くて 遣る瀬無い大人の味がするよ・・・
まり