Heifetz-Beethoven Romance No. 2 in F Major (Op. 50)

気が付けば もう如月
少し臥せっている間に 暦は捲られていたようです

寒明は まだかまだかと古巣にて
待ちわびる音に ただ耳を立てり
さて 少しお休みしてしまいました ごめんなさい
そろりそろりと歩きます

本殿で また御神籤を引きました
あなたは何でしたか?
私のは また小吉でした
悪い人に邪魔をされるので 物事に先走らないように
待ち人は 遅くなりますが必ず来ます
悪い人って 誰でしょうね

あっ 本殿の隣には 九尾の狐をお祭りした神社がありますよ
じゃぁ 此処でもお参りをして行きましょう

勝虫となりて戻らん きみが瀬を
ひたすらに待つ 冬の陣

ここで引いた御神籤には いくつかの言葉が書かれていましたが
その中のひとつに 李白の五言絶句が掛かれていました
白髪三千丈 白髪三千丈
縁愁似個長 愁に縁って個(かく)の似(ごと)く長し
不知明鏡里 知らず明鏡の里(うち)
何處得秋霜 何れの處にか秋霜を得たる
いつか誰もが 自分の足跡を憂う瞬間なのでしょうか
そんな時を迎えられたら・・・
自分に よく頑張ったねご苦労さまって言ってあげたいですね・・・

神社の横に進むと 上から殺生石を眺める事が出来るのよ
ほら 眺めがいいですね

あのしめ縄を張ってあるのが 九尾の狐を封じ込めた岩です

わぁ・・・千体地蔵が雪に埋もれています
紅い毛糸の帽子だけが見えますね
寒そうです・・・
雪の中から出してあげたいですね・・・

さぁ・・・そろそろ降りなくてはいけません
階段がつるつるしてるので ゆっくり降りましょうね

たくさんの人が願いを込めて 御神籤を引くのよね
みんなの願いが叶うといいのに・・・
でも 神さまは何もしてくれないと思うの
注意くらいはしてくれるけれど
ただ 黙って見守っていてくれるのだろうと思う・・・きっとね

願うことで 人は立つものなのだと思う
其処に向かって 歩いてゆけるのだと思うのよ
願う事は欲のひとつだと思うけれど
祈る事で 自分を奮い立たせることだってあるのだと思う・・・
どんな願いも 無駄な事なんてひとつもなくって
だから どんな神さまも ただ うんうんて聴いてくれるのだと思うの・・・

冬の中を 這ってでも歩いてゆくって決めたから
ちゃんと 歩きます
だからね 手を離さないでね
共に・・・って そう言う意味なのでしょう?

あぁっ!・・・待ってよ 置いていかないで
転んじゃう
まだ 終わりじゃないのに・・・
まり